2024.06.06

猫にエビは与えない方がよい?理由を解説

猫にエビは与えない方がよい?理由を解説

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    猫の好物といえば、魚介類をイメージする方が多いでしょう。しかし、魚介類の一種であるエビは、イメージに反して猫の体にとってあまりよくない食材です。
    この記事では、キャットフードにも使用されるエビがなぜ猫にとってよくないのかをご紹介します。

    猫にエビを与えない方がよい理由

    結論として、猫にエビは与えない方がよいでしょう。特に生のエビは、猫の健康を大きく害するおそれがあります。
    猫にエビを食べさせていけない要因は複数あり、そのどれもが猫の体に悪い影響を与えます。その理由を、順に解説しましょう。

    チアミナーゼを含むため

    エビに含まれるチアミナーゼという成分には、チアミン(ビタミンB1)を分解する働きがあります。
    チアミナーゼを大量に摂取すると、猫の体内のチアミンが分解され、チアミン(ビタミンB1)欠乏症に陥ります。ビタミンB1は不足すると体調を崩して死に至ることもある、猫に必要不可欠な栄養素なのです。
    チアミナーゼは熱に弱いため、加熱すれば壊れてチアミンを分解する性質は失われます。猫に与える際は生のエビは避け、加熱済みのエビのみを与える方が望ましいでしょう。

    殻や尾は上手く消化できないため

    猫にとってエビの殻や尾は、消化がとても困難です。消化不良によって下痢や嘔吐を引き起こすほか、喉や消化管に詰まって傷をつけてしまうおそれがあります。
    猫は人間と異なり完全な肉食動物であるため、タンパク質の消化を得意とする一方で炭水化物の消化が得意ではありません。エビの殻や尾には動物性炭水化物であるキチンが含まれており、猫の短い消化管では上手く消化しきれません。そのため、消化にかかる負担が増加します。
    エビを与える際は、殻や尻尾を取り除いて与えるとよいでしょう。

    アレルギー症状を引き起こす可能性があるため

    猫は個体によって、エビを含む甲殻類でアレルギー症状を起こす可能性があります。アナフィラキシー(急性アレルギー症状)を発症した場合、食後すぐに以下のような症状が発症します。

    ・嘔吐
    ・湿疹
    ・呼吸困難 など

    また、エビを含む甲殻類を長期間与え続けていると、食物不耐性という慢性のアレルギー症状が発症し、体内外に慢性の炎症を起こすおそれがあります。
    アレルギー症状は一度食べた際に何の症状がみられなかったとしても、次に食べた際に発症する場合があります。
    食後しばらくの間は、普段と変わった様子がないか気にかけましょう。

    猫がエビを食べることで起こる症状

    猫がエビを食べた際には、下痢や嘔吐を発症するおそれがあります。
    また、生のエビを食べてビタミンB1欠乏症に陥った場合、以下のような初期症状がみられます。

    ・食欲の低下
    ・よだれの分泌量が増加

    また、時間経過で悪化すると次のような症状がみられます。

    ・けいれん
    ・眼振
    ・神経障害
    ・運動機能障害
    ・背骨の変形

    このような症状が現れた際には、迅速なビタミンB1の投与によって症状の改善がみられます。早期に動物病院での治療が必要です。

    猫が生のエビを食べてしまったときの対処法

    猫が誤って生のエビを食べてしまった際は、自分で処置しようとせず動物病院での受診が望ましいでしょう。
    以下に判断の目安を記載するので、判断の参考にしてください。

    動物病院へ行った方がよい場合

    生のエビを食べて以下のような症状が現れた場合、緊急性が高いため速やかに動物病院で受診しましょう。

    ・ビタミンB1欠乏症の症状がみられる(食欲が落ちる・よだれが出るなど)
    ・アナフィラキシーの症状がみられる(けいれん、瞳孔異常など)

    また、以下のような症状がみられた場合も、早めに動物病院で受診することをお勧めします。

    ・丸1日食欲がなく何も食べない
    ・軟便が続く

    受診の際は、「何を」「何時頃」「どの程度」食べてしまったかを記録して獣医に伝えるとスムーズです。
    また、可能であれば吐しゃ物や排泄物をビニール袋に入れて持参しましょう。

    自宅で経過観察でもよい場合

    少し舐めた程度であれば、自宅で経過観察しても問題ありません。アナフィラキシー症状が現れていないか、注意深く様子を見守りましょう。
    また食後も元気で食欲があり、軟便以外の症状がない場合は一先ず経過観察でよいと思われます。ただし、軟便が続く・様子がおかしくなったなど異常がみられた際は速やかに動物病院で受診しましょう。

    そのほか猫に与えない方がよい食材

    猫に与えない方がよい魚介類は、エビだけではありません。
    猫にとっては危険な成分が含まれる魚介類を、その症状と共にいくつか解説します。その食べ物を与えるか判断する際の、参考にしてください。

    イカ・タコ

    イカやタコにもエビと同様にチアミナーゼが含まれており、生の状態で与えることは危険です。
    また加熱後も猫にとって消化がよいとはいえず、大量に与えると消化不良を引き起こすため避けた方が賢明でしょう。

    貝類

    貝にも、エビと同様にチアミナーゼが含まれています。
    さらに食中毒の危険性も高いため、生の状態で与えることは大変危険です。
    また、サザエやアワビなどに含まれるピロフェオホルバイドαという成分は、猫の光過敏症を引き起こすおそれがあります。光過敏症は猫の顔や頭部付近に炎症が現れて、かゆみや腫れが生じ、進行すれば壊死する場合がある病です。
    与える際は、ホタテの貝柱やアサリなどの貝類を加熱処理したうえで少量ずつ与えましょう。

    まとめ

    エビは猫の体にとってチアミナーゼによるチアミン欠乏症やアレルギーのおそれがある、とてもリスクの高い食べ物です。
    極力与えることは避け、それでも与える場合は十分加熱し少量にとどめましょう。
    またエビに限らず、人間の食べ物を猫に与えると想定外の影響を及ぼし猫の体に負担になる場合があります。
    与える際はよく調べたうえで、しっかりと様子を見守りながら与えることが大切です。

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